物理学の基礎 -物質とエネルギーから自然を考える-

単位数 ナンバリングコード
2 DCS103
教員名 穴田 有一
専門 ソフトマター物理学(高分子固体物理学)
出身校等 北海道大学工学部応用物理学科卒業,北海道大学大学院工学研究科応用物理学専攻修士課程修了,北海道大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士後期課程単位取得退学,工学博士
現職 北海道情報大学教授
授業形態
前期印刷授業・後期印刷授業・後期面接授業・前期インターネットメディア授業・後期インターネットメディア授業
授業範囲
教科書の第6章から第9章まで
1.温度と物質
気体の圧力・温度が分子運動とどんな関係になっているかを理解する。
(熱運動、理想気体の状態方程式、熱運動のエネルギー)
2.物質の法則
物質に熱を与えて仕事を取り出す熱機関の原理を学び、熱と環境の関係を考える。
(熱力学第1法則、熱力学第2法則、カルノーサイクル、エントロピー)
3.光の性質
波としての光の性質を学ぶ。(フェルマーの原理、干渉、回折)
4.熱から光へ
光の粒子性について学び、物質の構成要素である原子の構造を理解する。
(熱放射、プランク定数、光子、光電効果、ボーアの理論)
試験範囲
授業範囲に記載した範囲から出題します。「学習用プリント集」は必要に応じて参照して下さい。
(持ち込み許可物)一切自由
(試験に関する注意事項)印刷授業・インターネットメディア授業の科目試験は、インターネット試験で実施します。
科目の概要
 幼い頃身近な自然現象に触れて、疑問をいだきまた好奇心をかきたてられたことはありませんか。そんな疑問に100%答えられる科学はありませんから、いつのまにか自然に対する好奇心を忘れてしまった人も多いと思います。それでも時には、ミクロの世界や宇宙の不思議に興味を引かれることがあるのではないでしょうか。
 物理学は自然の仕組みを解き明かす一つの切り口にすぎませんが、多くの科学技術の基礎であり、様々な学問や私たちの社会に非常に大きな影響を与えてきました。物理学の知識は現代人に必要な教養の一つであるだけでなく、どんな専攻分野の学生諸君にとっても、将来役に立つ学問であると思います。
授業における学修の到達目標
 本科目では、物質と空間と時間が物理学ではどのように理解されているかを学んでもらいますが、その学習を通じて自然の仕組みを解き明かす物理学の手法と思想を理解することを目標とします。
講義の方針・計画
 詳細な知識を増やすことよりも、物理法則にもとづいて自然現象を理解することが大事です。できるだけ身近な現象を思い浮かべて、どのようにしてその現象が生じるのかを物理的に考えてみてください。数学は必要です。高校までの数学で十分ですからよく復習してください。講義の内容をより深く理解したいならば、本学通信教育課程の「三角関数・指数関数・対数関数」も学習しておくとよいでしょう。
 物質の物理のテーマは「物質」です。運動の法則から出発して物質の性質を考えます。分子の運動と巨視的な物質の性質がどのように関連するか理解してください。熱力学の基本法則と資源の有効利用や物質と光の関係についても考えます。

第1回:分子運動と力学的エネルギー
第2回:容器に閉じ込められた分子の運動
第3回:気体の状態
第4回:状態方程式
第5回:仕事と熱
第6回:熱機関
第7回:カルノーサイクル
第8回:熱効率とエントロピー
第9回:光の進み方
第10回:波の性質
第11回:波としての光
第12回:温度と光
第13回:光の粒子性
第14回:原子の仕組み
第15回:まとめ
準備学習
印刷授業は、教科書や学習用プリントなどを基に自学自習で学習を進めますが、授業範囲の内容の他に、教科書の内容全体を2単位で90時間かけて学習することを目安としています。
わからない用語や内容は、参考文献等で検索することが準備学習として必要になります。

印刷授業以外の授業形態において、以下の準備学習を行う。
(予習)聴講前に、教科書の該当箇所に目を通してください。
(復習)聴講後に、教科書の該当箇所を読んで、確認してください。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
印刷授業は、提出されたレポートについて講評を付与して返却する。
IM授業は、練習問題を解答すると、解答に応じたコメントを画面に表示する。
成績評価の方法およびその基準
試験:100%
ただし、対面のスクーリングでは、授業中の演習問題などを平常点として加味して評価します。
教科書
書 名:運動と物質―物理学へのアプローチ―(初版)
著者名:穴田有一
発行所:共立出版
ISBN:9784320033979
参考書
参考書を一つだけ挙げておきます。必要ならば参考にしてください。
書 名:身近な教養物理(初版)
著者名:小暮陽三
発行所:森北出版
その他
なし
試験期間
シラバス検索画面トップページ(https://syllabus-tsushin.do-johodai.ac.jp/)下部の「2022科目試験時間割」を参照
学習プリント
あり
教職科目
関連受講科目
なし
担当教員の実務経験
 1981年から1982年にかけて、石油化学企業に勤務し、4ヶ月間の工場実習を経て研究所に配属され、プロジェクトチームのメンバーとして合成樹脂材料の研究開発に従事しました。2つの開発テーマを与えられましたが、その内の一つ、自動車部品メーカーに販売することを目的としたゴム状の合成樹脂材料の開発では、ガラス面での低摩擦力を実現するために、物理学研究の基本的方法論にもとづく独自の分析方法を考案し、様々な摩擦係数をもつ材料を容易に成形するための材料組成をつきとめました。この研究については、プロジェクトリーダーの主任研究員および部門主管からも高評価を得て、プロジェクトの進行に寄与しました。
 この実務経験から学んだことは、学問の基礎を修得することが実務上でも有益であること、そして、研究開発を進めるためには、プロジェクトチームの一員として協調しながらも、独自の考えを持つことが重要であり、口先だけで無く、その考えに基づく実績を作ることで、チームと協調しながらプロジェクトの前進に寄与することができるということです。
 本学の担当科目では、この経験に基づいて、基礎知識と学問の方法論を学習することの重要性を伝えるとともに、その基礎に裏付けられた自分の考えもち、他者とコミュニケーションを十分にとりながら協調することの重要性を伝えています。
レポート課題
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