経営史 -日本の経済・社会と企業の歴史が理解できる-

単位数 ナンバリングコード
2 DBA209
教員名 浜渕 久志
専門 産業政策・経営史
出身校等 北海道大学大学院経済学研究科
現職
授業形態
前期印刷授業・後期印刷授業
授業範囲
教科書の内容すべて
試験範囲
教科書の4章から7章まで
(持ち込み許可物)一切自由
(試験に関する注意事項)科目試験は、インターネット試験で実施します。
科目の概要
 世界金融危機に大震災、原発事故、その後も日本は大きな危機の中にある。この国難をいかに打開するかの知恵は歴史の中にある。ドイツの有名な指導者ビスマルクも「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といっている。1980年代後半の日本の地価や株価のバブルもやがて弾け、20年をこえる不況期を経験したが、改革も一部進み企業経営も筋肉質になった。日本は多くの失敗も経験してきたが、黒船来航や敗戦、オイルショック、平成バブル崩壊などの難問を知恵と努力で解決してきた。私たちは歴史を謙虚に学び、長い歴史の波動から得られる教訓をくみ取り、経済や経営に活かすべきだ。
 「学習用プリント集」には、各章の問題例を掲げ学ぶ内容を書き出したので、テキストを読む際に利用して欲しい。
授業における学修の到達目標
 経営史など歴史を学べば、「なぜ、どうして、なにをすべきか」などの思考力が身に着く。長い時間の流れのなかで、ものごとを枝葉末節でなく、大きな幹(本質)をつかんで思考できるようになる。企業は現代社会を動かすエンジンである。経営を理解し、経営にとって何が必要か、企業は社会のなかでどのように行動すべきかを学び取る。企業経営は経済の大海原に浮かぶ島にたとえられ、大海原にあたる日本や世界の経済の動向と関連させて企業経営の歴史を学ぶ。ここで学んだ知識を卒業後の会社生活で活用し将来にそなえてほしい。とくに日本の経済・経営の歴史の中で、だれが、いつ、何を、なぜ、どのように行動して、その結果どうなったか、をはっきり意識して学んでほしい。
講義の方針・計画
 経営史では江戸時代から平成までの日本の大企業を中心とした経営の発展を学ぶ。

第1回:歴史を学ぶ意味(教科書はじめに)
なぜ歴史を学ぶ必要があるのか。現代の市場経済はどのような特徴をもち、どのようにして育ってきたのか。明治以降の日本経済が40年周期で変化したようすと今後の見通しを学ぶ。
Part ⅰ 侍の時代から日本はどのようにして工業化を達成できたかを学ぶ
第2回・第3回:江戸時代の経済と経営(教科書1章)
明治以降日本経済と企業が発展した理由のひとつは、江戸時代にさまざまな産業が発展していたからだ。全国的な商品流通を担った問屋であり両替商であった三井家や、酒造・織物業の経営者は現代でも通用する経営を展開し、企業経営の基礎となっている点を学ぶ。
第4回・第5回:近代的経済成長の開始と企業勃興(教科書2章)
欧米諸国は産業革命をやりとげ、アジア支配への動きをみせる。日本は植民地化の危機をのりきり、急速な経済発展をとげる。明治政府の文明開化事業は成功する。官営事業の多くは失敗するが民間の手で再生する。この期には欧米諸国の企業に対抗して岩崎弥太郎や渋沢栄一らの民間の企業家が創業し成功をおさめる。商業や製糸業などの従来の産業でも改革が進む。第1次企業設立ブームが起こり、日本の工業化=産業革命がはじまる。
Part ⅱ 日露戦争に勝った日本はなぜ壊滅的な敗戦に至ったかを学ぶ
第6回・第7回: 明治後半期の経済と経営(教科書3章)
2つの戦争は日本経済の質量をともに変えた。電気・化学など新技術が導入され、財閥や紡績業の独占的大企業があらわれる。また植民地を獲得し政府は軍備を強化する。中国大陸への進出もねらうが、日露戦争の戦費や戦後の企業・政府の積極的な投資資金を外国からの借金でまかなったため財政が悪化する。また税金も増え、富むものと貧しくなる者の差が明らかになる。
第8回・第9回:第1次大戦ブームと1920年代不況(教科書4章)
空前の大戦ブームはやがてバブル(泡)のような実体の伴わないものになる。関東大震災にもみまわれ、日本は経済危機に直面する。不況は長期化し、失業者や小作人がふえる一方で、資金のある財閥や大紡績会社はますます強くなる。貧富の経済格差(二重構造)は一層拡大し、不況を深刻化させる。そのなかでも電力・化学など新産業が創業し成長をみせる。
第10回・第11回:昭和戦前期の経済と経営(教科書5章)
1929年に発生した世界恐慌により、日本は昭和恐慌という大不況に襲われる。昭和恐慌も高橋是清の財政金融政策で脱出できるが、その一方で満州事変以降、軍部が政治の主導権をにぎるようになる。軍部は日中戦争から太平洋戦争という愚かな試みを拡大する。戦争は長期の総力戦となり、統制経済という計画経済が進行する。兵器を生産する企業や資金を供給する大銀行は規模を拡大するが、アメリカ軍の反撃により日本は壊滅状態になり降伏する。
Part ⅲ 日本は敗戦の焼け跡からなぜ蘇ったのかを学ぶ
第12回:第2次大戦後の経済再建と経営(教科書6章)
アメリカ主導の改革は国内の社会経済を一新させた。この戦後改革の内容と日本社会に与えた影響を理解する。戦後は、企業家が積極的に投資・創業できる時代になる。ソニー・ホンダのような戦災の焼け跡に建つ小さな町工場が世界市場をめざし成長していく。戦前からの大企業も、財閥家族のような大株主は消滅し、経営者も一新され、労働組合が台頭するなど企業経営は大きく変化する。
第13回・第14回:高度経済成長期の経済と経営(教科書7章)
戦後文字通りゼロからスタートした日本企業は、アメリカ企業から技術を購入し、また相手の弱点を研究し、日本企業は国際競争力を強化していく。こうして1955~70年にかけて毎年10%の経済成長が続き、日本は経済大国になる。生活のすべてが和風からアメリカ風になるなかで、日本国中同じ風景になり、1億総中流という格差のない時代にはいる。高度経済成長のエンジンとなったトヨタなどの製造業、ダイエーなどの流通業のイノベーションを学ぶ。
第15回:安定成長期から平成期(教科書8章)
1970年から80年代の日本の経済成長率は5%に半減するが、車・家電などの新製品が世界市場で売れに売れた。日本は世界の工場になりJapan as No.1とよばれ、貿易黒字が急増する。やがて好景気はバブルとなり、その後の平成不況をもたらす。
準備学習
印刷授業は、教科書や学習用プリントなどを基に自学自習で学習を進めますが、授業範囲の内容の他に、教科書の内容全体を2単位で90時間かけて学習することを目安としています。
わからない用語や内容は、参考文献等で検索することが準備学習として必要になります。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
印刷授業は、提出されたレポートについて講評を付与して返却する。
成績評価の方法およびその基準
試験:100%
教科書
書 名:近現代日本の経済と経営(第3版)
著者名:浜渕久志
発行所:札幌メディアサービス(札幌市北区北25西12-2-8/Tel:011-709-0204)
ISBN:番号なし
参考書
なし
その他
なし
試験期間
シラバス検索画面トップページ(https://syllabus-tsushin.do-johodai.ac.jp/)下部の「2022科目試験時間割」を参照
学習プリント
あり
教職科目
関連受講科目
「経営者と意思決定」
担当教員の実務経験
実務経験なし
レポート課題
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