商業科教育法II

単位数 ナンバリングコード
2 DTP279
教員名 阿部 諭
専門 教育学、簿記原理
出身校等 日本大学 商学部
現職 なし
授業形態
前期印刷授業・後期印刷授業
授業範囲
講義の方針・計画に示された教科書等のページ箇所の内容
試験範囲
授業範囲全て
(持ち込み許可物)一切自由
科目の概要
 「商業科教育法1」の上級編。商業教育はビジネスを通し,地域産業や経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人の育成を目指している。このことを踏まえて,商業科科目の内容等の指導法や指導技術等を教育現場の課題や問題点を意識しながら指導計画,学習指導案の作成,教材研究,評価の考え方などを学習する。
 生徒の主体的,対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の研究に取り組み,効果的な授業の展開ができるようにする。
授業における学修の到達目標
1.社会を支え地域産業の発展を担う職業人を育成することが出来る。
2.教科指導のための教材研究,学習指導,評価等の在り方を理解し実践することが出来る。
3.教科の指導内容と指導方法等に関する専門知識や指導力を身に付けられる。
講義の方針・計画
下記で示すページは,商業科教育論を「P-」,高等学校学習指導要領解説(商業編)を「解P-」,幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善及び必要な方策について(答申)を「答P-」,児童生徒の学習評価の在り方について(報告)を「報P-」として示す。

第1回:第1章 商業教育の意義と必要性(P8-15)
1-1商業教育の基本理念,1-2商業教育で育む資質・能力~コンテンツからコンピテンシー(答P30)への拡張である。教育課程や教科指導,学力等の面においても、従前からの捉え方,考え方等が変わってきていることを認識し理解を深める。今回の重要なポイントである。メタ認知(P12,答P30)の理解を深める。

第2回:第1章 商業教育の意義と必要性(P15-24)
1-3商業科担当教員への期待
何時の時代でも教員の資質・能力が問われている。特に近年,社会からの信頼される質の高い教員の育成が求められている。生徒に育成する学力をコンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースへと拡張されたことは,教員の指導力もコンテンツ・ベースの指導力からコンピテンシー・ベースの指導力へと拡張させなければならない。

第3回:第2章 我が国における商業教育の歩み(P26-38)
2-1明治期の商業教育,2-2大正期・昭和20(1945)年以前の商業教育,2-3新教育制度と商業教育
2-4科目構成,科目名の変遷~改訂年度と科目構成,科目名のみならず,商業科の目標,改訂の背景や特徴等の変遷も調べる。

第4回:第3章 高等学校学習指導要領と商業教育(P40-48)
3-1学習指導要領の法的位置付け,3-2学習指導要領の理念~(解P2)(1)改訂の基本的考え方,(解P180)学習指導要領の総則第1款―5.を参考にする。3-3時代の進展等と商業科の改善~(解P11)(2)内容の改善②学習内容の改善の方向性について解説されている。3-4商業科の構造~(解P14-18)「商業科の目標」「商業科の内容構成」参照。3-5商業科の学習指導を考える文脈~指導の目的が「何を知っているか」にとどまりがちで,知っていることを活用して「何ができるようになるか」にまで発展させる必要がある。(答P15,答P27-31,答P45-47,答P47-53),(解P3,解P3-4,解P159-160)も併せて見比べ理解を深める。

第5回:第4章 商業科の教育課程の編成と実施(P50-58)(解P165-170,解P179-196)
4-1教育課程の意義,4-2専門性の深化,4-3カリキュラム・マネジメント~(P18)(解P4-5)(答P23-26)併せて参照する。4-4専門学科における各教科・科目の履修~学習指導要領の総則で述べられている事項である。(解P165-170,解P185-189)特に「課題研究」と「総合的な探求の時間」の代替えに関すること,数字的な事項(例えば専門教科・科目の最低必修単位数)などは確実に把握し,理由も含め理解を深めておく。
4-5文部科学省検定済教科用図書等の使用義務,4-6職業資格とのつながり~(P14,P47)(解P15-16)職業資格の取得を目的化しないよう留意して取り扱うことが重要である。この事は検定試験に対しても同様である。「課題研究」の指導項目(4)職業資格の取得も参照。4-7各学科で育成する人材像と教育課程

第6回:第5章 商業科の学習指導(P60-64)
5-1商業科教育における学習指導の理念と方向性~グローバル化の進展,情報技術の進歩や専門的な知識・技術の高度化など,多様な課題に対応できる課題解決能力を育成することが重要である。育成する人材像については,(解P14-16)商業科の目標の中で示された資質・能力,(解P18)各分野で育む力なども考慮し整理しておく。また,課題解決能力については(解P7)「(2)①i)資質・能力を育成する学びの過程についての考え方」の具体的な課題を踏まえた課題解決的な学習の充実を参照する。

第7回:第5章 商業科の学習指導(P64-72)
5-2商業科教育における主体的・対話的で深い学び~「主体的・対話的で深い学び」の実現(解P8-9)(答P216-217),「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善(解P159-160),「主体的・対話的で深い学び」を実現することの意義(答P49-53)を熟読の上,理解をより一層深める。授業の改善にあたっては,(P65-67)③安心安全の授業環境を整える(1)~(3),④他者を受け止め,理解する機会を作るは,アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善は,生徒の信頼なくしてはできない重要な点である。アクティブ・ラーニングでは教員の役割としてファシリテーター(P70)について述べられているが,これに加えてティーチングとしてのさらなる向上やコーチングとしてのスキルを身に付いておくことが大切である。

第8回:第6章 各分野の学習指導(P74-85)
6-1基礎的科目(74-85)(解P19-27,解P39-45)~評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。評価は観点別評価であることに留意する。6-2マーケティング分野(P86-99)(解P46-67)~商業科の目標(解P14-16)の解説に,目標の(1)~(3)で身に付ける,力を養う,態度を養うための学習活動が示されているので参考にする。評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。評価は観点別評価であることに留意する。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。

第9回:第6章 各分野の学習指導(P100-131)(解P68-88,解P89-123)
6-3マネジメント分野(P100-131)(解P68-88)~商業科の目標(解P14-16)の解説に,目標の(1)~(3)で身に付ける,力を養う,態度を養うための学習活動が示されているので参考にする。評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。評価は観点別評価であることに留意する。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。
6-4会計分野(P114-131)(解P89-123)~商業科の目標(解P14-16)の解説に,目標の(1)~(3)で身に付ける,力を養う,態度を養うための学習活動が示されているので参考にする。評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。評価は観点別評価であることに留意する。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。

第10回:第6章 各分野の学習指導(P132-159)(解P124-158,解P28-32,解P33-38)
6-5ビジネス情報分野(P132-151)(解P124-158)~商業科の目標(解P14-16)の解説に,目標の(1)~(3)で身に付ける,力を養う,態度を養うための学習活動が示されているので参考にする。評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。評価は観点別評価であることに留意する。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。
6-6総合的科目(課題研究,総合実践)(P152-159)(解P28-32,解P33-38)
評価の観点は年間指導計画や学習指導案等に関わりが深く重要である。指導方法の具体例,評価の観点,学習指導案の例に注目し,授業実践に備える。評価は観点別評価であることに留意する。

第11回:第7章 指導計画の理念と作成(P162-174)(解P159-164)
7-1指導計画の意義と作成(P162-174)~指導計画の作成にあたっては,解説の「指導計画作成に当たっての配慮事項」も参考にする。

第12回:第7章 指導計画の理念と作成(P175-176)(解P159-164)
7-2指導計画の実施・評価・改善(P175-176)~実施にあたって①効果的な話し方,②机間指導の重要性が述べられているが,加えて「発問」の重要性を指摘しておきたい。生徒の思考,認識過程を経るような発問をあらかじめ準備する。発問のねらいは生徒の学習意欲を高めることにある。発問の要件等の研究を深め、実践に備える。

第13回:第8章 学習評価の理念と実際(P178-184)(答P18,答P60-63)(報P3-27)
学習評価は,学校における教育活動に関し,生徒の学習状況を評価するものであることに留まらず,「カリキュラム・マネジメント」の中で,教育課程や学習・指導方法の評価と結び付ける「指導と評価の一体化」を図ることが重要である。8-1評価の目的~様々な評価の方法等に精通し,効果的に活用できるよう習熟する。8-2目標に準拠した評価と評価の観点~学習指導要領では,(解P191)2学習評価の充実で,評価の対象は目標に対する学習状況であるとして,絶対評価(目標に準拠した評価)で評価するよう求めている。評価の場面は学習過程と学習成果である。評価の目的は指導の改善と学習意欲の向上である。学習評価の実施にはこれらのことに配慮する。

第14回:第8章 学習評価の理念と実際(P184-192) (報P3-27)
8-3評価方法の工夫(P184-192) (報P8,報P13)~評価手法の測定できる観点,評価の時期や特徴などを十分に理解し,実際の授業でどのように活用いていくかを考える。(報P8,報P13)の「具体的な評価の方法としては,・・・」を参考にして理解を深める。

第15回:第9章 魅力ある商業教育(P194-201)
9-1これからの商業教育,9-2体系的な商業教育の意義~キャリア教育(答P18脚注,答P55-57)(解P188),「生きる力」(解P3)(答P11脚注),社会に開かれた教育(答P19-20)(解P2),検定試験と資格取得に関する留意事項等(P47)(解P47,解P16,解P11-12「課題研究」),9-3魅力ある商業教育を目指して
準備学習
印刷授業は,教科書や検索サイトなどを基に自学自習で学習を進めますが,授業範囲の内容の他に,教科書の内容全体を2単位で90時間かけて学習することを目安としています。
わからない用語や内容は,参考文献等で検索することが準備学習として必要になります。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
印刷授業は、提出されたレポートについて講評を付与して返却する。
成績評価の方法およびその基準
試験:100%
教科書
書 名:商業科教育論 2019年10月15日 初版第1刷発行
著者名:日本商業教育学会
発行所:実教出版株式会社
ISBN:9784407344578
書 名:高等学校学習指導要領解説 商業編 平成31年3月10日 初版発行
著者名:文部科学省
発行所:実教出版株式会社(商業科教育法Ⅰで購入済み)
ISBN:9784407348637
答申:幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)平成28年12月21日
:中央教育審議会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/01/10/1380902_0.pdf
報告:児童生徒の学習評価の在り方について(報告)平成31年1月21日
  :中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/01/__icsFiles/afieldfile/2019/01/21/1412838_1_1.pdf
参考書
なし
その他
なし
試験期間
シラバス検索画面トップページ(https://syllabus-tsushin.do-johodai.ac.jp/)下部の「2022科目試験時間割」を参照
学習プリント
教職科目
商業5の1(必修)、商業6の4
関連受講科目
なし
担当教員の実務経験
1973年から1999年まで、公立高等学校で専門教科の教員として、生徒の学習指導や生徒指導に携わる。2000年から2008年までは管理職として、学校経営及び教職員の教育指導に携わる。この間、教材開発や授業評価等の研究を実際の授業に生かしてきた。この経験をもとに、分かる授業の進め方、教材研究の重要性、授業評価の必要性などを学生に伝え、共に考え実践に生かしていける教育を実施する。
レポート課題
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