メディア・リテラシー入門 -真実を読み取る力-

単位数 ナンバリングコード
2 DCS109
教員名 伊東 正剛
専門 マス・コミュニケーション論
出身校等 北海道大学法学部
現職 元北海道新聞編集委員、北広島市国保運営協議会委員、林業
授業形態
前期印刷授業・後期印刷授業
授業範囲
教科書の内容すべて
試験範囲
授業範囲すべて
(持ち込み許可物)一切自由
(試験に関する注意事項)科目試験は、インターネット試験で実施します。
科目の概要
 メディア・リテラシーとは、メディアの情報を批判的に読み解き、発信する能力をいいます。インターネットの普及に伴い、毎日膨大な情報量が私たちの日々の暮らしに押し寄せています。中でもフェイクニュース(偽のニュース)の問題は深刻です。メディアに煽られたり騙されたり、情報の海に溺れたりしないためには主体的に読み取る姿勢が欠かせません。加えてメディアの構造や特性、働きを理解することも重要な柱です。ニュースを読み、情報を発信するうえで心得ておくべき点を学んでもらいます。
授業における学修の到達目標
 メディア・リテラシーの能力を身に付けて暮らしや社会に役立てるのが目標です。そのために具体的に三つの目標を設置します。第一に、ネット時代を迎え情報キャッチボールの基本をわきまえないと、情報の被害者になるばかりか加害者になる可能性もあると認識すること。第二に、人には自分の耳に心地よいニュースを聞きたがる傾向が強いことを意識しながら批判的に読み取る習慣を持つこと。第三に、様々なメディアの長所と短所を理解してメディアを生態系としてとらえることです。
講義の方針・計画
 まず「10代からの情報キャッチボール入門」を読み、「メディアなんて自己流に自由に使いこなせるものだ」と過信していると、誤った情報を真に受け止め発信して、あらぬ事態を招きかねないことを知ってもらいます。著者の下村健一さんが「使えるメディア・リテラシー」として提唱している「4つのギモン」「4つのジモン」を学びます。
 次に、烏賀陽弘道さんが書いた「フェイクニュースの見分け方」を読んで、偽のニュースを掴まされないためにクロスチェックが必要なことを学んでもらいます。最後に「『ポスト真実』時代のネットニュースの読み方」をもとに、ネットメディア全盛の時代でもニュースの読み方で大きな失敗をせずに済む知識と知恵を習得してもらいます。

第1回:誤った受信、誤った発信          
第2回:情報をしっかり受け取るための4つのギモン 
第3回:情報をしっかり届けるための4つのジモン  
第4回:スピンドクター         
第5回:インテリジェンスの基本
第6回:発信者不明情報
第7回:空間軸と時間軸            
第8回:フェアネスチェックの視点
第9回:ワンストップの落とし穴
第10回:生態系としてとらえる必要性
第11回:フィルターバブルと「デイリー・ミー」
第12回:アウトプットを意識して情報を読む
第13回:「紙」で基礎を学ぶ
第14回:陰謀史観と無知の知
第15回:メディアのこれから
準備学習
印刷授業は、教科書や学習用プリントなどを基に自学自習で学習を進めますが、授業範囲の内容の他に、教科書の内容全体を2単位で90時間かけて学習することを目安としています。
わからない用語や内容は、参考文献等で検索することが準備学習として必要になります。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
印刷授業は、提出されたレポートについて講評を付与して返却する。
成績評価の方法およびその基準
試験:100%
教科書
書 名:10代からの情報キャッチボール入門 使えるメディア・リテラシー
著者名:下村健一
発行所:岩波書店
書 名:フェイクニュースの見分け方
著者名:烏賀陽弘道
発行所:新潮社
書 名:「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方
著者名:松林薫
発行所:晶文社
参考書
書 名:世論(上)(下)(文庫版)
著者名:W・リップマン
発行所:岩波書店
書 名:情報を活かす力(新書版)
著者名:池上彰
発行所:PHPビジネス新書
書 名:メディア不信 何が問われているのか(新書版)
著者名:林香里
発行所:岩波新書
書 名:ネットメディア覇権戦争 偽ニュースはなぜ生まれたか(新書版)
著者名:藤代裕之
発行所:光文社新書
書 名:僕らが毎日やっている最強の読み方
著者名:池上彰、佐藤優
発行所:東洋経済新報社
書 名:新聞の正しい読み方
著者名:松林薫
発行所:NTT出版
書 名:メディアと政治 改訂版
著者名:蒲島郁夫、竹下俊郎、芹川洋一
発行所:有斐閣
その他
 メディア・リテラシーの実践として、複数の新聞を読み比べてください。自分に興味のあるテーマを選び記事の扱いや内容を比較しながら自分の感想や意見を付箋で貼り付けてみてください。
試験期間
シラバス検索画面トップページ(http://syllabus-tsushin.do-johodai.ac.jp/)下部の「2020科目試験時間割」を参照
学習プリント
あり
教職科目
関連受講科目
なし
担当教員の実務経験
1984年から2011年まで北海道新聞社編集局に勤務。主に旭川、札幌、東京で地方自治と地域経済、社会保障、首相官邸、経団連、宮内庁、大相撲の取材、執筆に携わり、1996年3月から1年間、ロシア・ハバロフスクに駐在してソ連崩壊後の極東地域の混乱を報道した。2018年12月から非常勤で北海道新聞くらし報道部に勤務し、社会保障と環境問題などを取材、執筆している。報道の仕事で変わりないのは情報の裏付け取材が大半を占めていることと、時間軸と空間軸の中でニュース価値を判断することだった。実務経験を生かし、講義ではフェイクニュースかどうかを判断する際、そのニュースに裏付けがあるかどうか疑うことと、歴史や他国の事例に照らし合わせて情報の価値を判断するよう指導している。
レポート課題
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