ミステリを読む -ミステリで知る文学の見方-

単位数 ナンバリングコード
2 DCS105
教員名 大森 滋樹
専門 日本近現代文学(主にミステリ)
出身校等 北海道大学 文学部文学科 国語国文学専攻課程
現職 北海道情報大学 非常勤講師
授業形態
前期印刷授業・後期印刷授業
授業範囲
学習用プリントの内容すべて
試験範囲
授業範囲すべて
(持ち込み許可物)一切自由
(試験に関する注意事項)科目試験は、インターネット試験で実施します。
科目の概要
 現代の日本ではミステリ作品が人気を集めています。古くは江戸川乱歩から現代では『名探偵コナン』や『相棒』まで、どのような時代にも、誰でも一度は耳にしたことがあるミステリ作品は途切れることなく存在してきました。私たちはみな、子どものころから知らず知らずのうちにミステリに親しみ、楽しんできたのです。
 ミステリというと、テクスト内に唯一絶対の真実が隠されているということを前提として読まれるため、「謎が解けて犯人が分かったらそれで終わり」というイメージがあるかもしれません。しかし、実は深く読み込むことにより、どのようなテクストでも、再読・再々読の楽しみが生まれるようになっているのです。本講義では、日本のミステリの流れを概観しながら、ミステリが駆使するテクスト上の仕掛けに気づき、分析的に把握する視点を獲得することを目標とします。ひいてはそれは、ミステリ以外の文学テクストを把握する上でも有用になるでしょう。
授業における学修の到達目標
本講義では、私たちの身近にあるミステリを視座として、文学テクストを分析的に把握する方法を学ぶことを目標とします。
講義の方針・計画
 [解説]の回と[読解]の回に分かれます。[解説]の回は、学習用プリントの解説を読み、設問に答えていってください。[読解]の回は、取り上げている作品を読んだあとで学習用プリントの解説を読み、設問に答えていってください。

第1回:[解説]ミステリの現在
第2回:[解説]本格ミステリのルール
第3回:[解説]本格ミステリの歴史
第4回:[読解]綾辻行人『十角館の殺人』(1)
第5回:[読解]綾辻行人『十角館の殺人』(2)
第6回:[解説]偽の手がかりという難問
第7回:[読解]京極夏彦『姑獲鳥の夏』(1)
第8回:[読解]京極夏彦『姑獲鳥の夏』(2)
第9回:[解説]謎解きと超自然的な力
第10回:[解説]記号論
第11回:[解説]テクスト論と本格ミステリ
第12回:[読解]芥川龍之介「藪の中」
第13回:[読解]深水黎一郎『ジークフリートの剣』(1)
第14回:[読解]深水黎一郎『ジークフリートの剣』(2)
第15回:[解説]総まとめ・本格ミステリの最前線

 [読解]の回で取り上げる作品は長いものが多いですが、どの作品も最後には驚くような展開が待っていますから、途中で諦めずに読み進めましょう。また、各回の学習用プリントの末尾には、テーマに関連するブックガイドを掲載しました。サブカルチャー領域についてよりよく理解するためには、ある程度の量の作品に触れることが必要になります。興味を感じた本があったら、積極的に読んでみてください。
準備学習
印刷授業は、教科書や学習用プリントなどを基に自学自習で学習を進めますが、授業範囲の内容の他に、教科書の内容全体を2単位で90時間かけて学習することを目安としています。
わからない用語や内容は、参考文献等で検索することが準備学習として必要になります。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバック方法
レポートについては評価の際にコメントを付します。
成績評価の方法およびその基準
試験:100%
教科書
書 名:『十角館の殺人』
著者名:綾辻行人
発行所:講談社文庫
書 名:『姑獲鳥の夏』
著者名:京極夏彦
発行所:講談社文庫
書 名:『藪の中』(注)
著者名:芥川龍之介
発行所:講談社文庫
書 名:『ジークフリートの剣』
著者名:深水黎一郎
発行所:講談社文庫
(注)「藪の中」のテキストは、青空文庫等で無料入手可能です。
(注)上記書籍は、電子書籍版でも可

「ジークフリートの剣」は書籍版の在庫がないため(紀伊國屋書店北海道営業部の在庫は無し)、お近くの書店で入手できない場合は、以下のURLにある「オンライン書店で見る」の「電子版」から電子書籍版を入手してください。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000206376
参考書
書 名:『現代文学理論 テクスト・読み・世界』
著者名:土田知則・神郡悦子・伊藤直哉
発行所:新曜社
その他
 [読解]の回の学習用プリントには、その回で取り上げる作品の犯人やトリックに言及している部分があります。そのため、当該作品を読了してから学習用プリントを読み進めていくことをおすすめします。
試験期間
シラバス検索画面トップページ(http://syllabus-tsushin.do-johodai.ac.jp/)下部の「2020科目試験時間割」を参照
学習プリント
あり
教職科目
関連受講科目
なし
担当教員の実務経験
2000年よりミステリ作品の商業誌における書評・レビューや文庫解説などの執筆を行ってきた。この経験を活かしながら、現代のミステリ作品を分析・批評するための手法を学生に伝える講義を展開する。
レポート課題
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